
太子山収蔵庫一期工事
2012年、祇園祭山建ての作事方として大下工務店を太子山保存会に紹介しました。
そのご縁で、ご神体の収蔵庫の改修設計の要請です。
構造改修と瓦屋根の葺き替えまで。
未完成の雰囲気満々ですが、来年度は完了工事に向かいます。
外装の漆喰塗や腰板貼りで完成を目指します。
保存会が気にされていたのが蔵戸両脇の2本の通し柱の蟻害。幸い桧材で芯は大丈夫との判断、補強の柱を追加しました。 揚げ前、根継ぎ。建物の南東で沈下が112mm。それに合わせて倒れがありました。根巻のモルタルかと思ったらどっこい布基礎のRC、その上端で揚げ前根継ぎを行いました。布基礎上のレンガ積みはすべて撤去です。 角柱の金輪継。 お守り代わりの鳥居型。鉛直荷重を負担します。 屋根をめくったら北西の台輪がごっそり張りぼてでした。さくあんさんが下地を作成。 そこにどっさり土を詰めます。 ようやく本瓦葺きの下地。光本さん。 棟の施工中。 従前の下屋の鬼板。「寛保 酉 八月吉日」 1741年です。舁き山ご神体のお太子様の御厨子の制作年とも一致し、そのために蔵が造られたことがわかります。今の蔵は明治期以降の築造と思われますが、他にも古い瓦がたくさんありました。 「これハおに板乃つぎ」。箱棟役物の記載。 巴の「太」の型もたくさん種類があります。なんども葺き直されたことがわかります。 「鷹而(?)ゆくゆくは ついに並ぶや ひな(奈)のぬし(奴志)」。平瓦にはなんやら雅な和歌が。これも北川さんに解読してもらいました。